森友学園への国有地値引き覆す新事実…やはりゴミはなかった

財務省が開示した文書に含まれていたメール
《約3ⅿ以深には廃棄物がないことを証明しております》
森友学園への国有地値引きの根拠を、根底から覆す資料が出てきた。財務省は8月13日、新たに約1万8000枚の文書を開示。4月以来3回目で、財務省に“不都合な真実”がまたも明らかになった。(肩書はすべて当時)
冒頭の一文は、森友学園が問題の国有地に建設していた小学校を巡り、担当した一級建築士事務所が2016年4月8日に出したメールにある。宛先は黒塗りされているが、学園の顧問弁護士と思われる。

値引き売却された国有地
この国有地には深さ3メートルまでの浅い部分にごみがあり、撤去作業は終わっていた。ところが16年3月になって校舎建設のためのボーリング工事で新たなごみが見つかったとされる。財務省近畿財務局は、3メートルより深いところにもごみがあったとして、8億円を値引きする根拠とした。
しかし、開示された建築士事務所のメールによると、どの深さにどのような地層があるかを示すボーリング柱状図で、3メートルより深いところにごみはないことが証明されているというのだ。翌日のメールでは、
《産廃が3m以深では無い→じゃあ、そんなに(価格は)引けないですよね、、、、》

開示文書のメール。下線は原文にある
こんな言葉もある。
《私はどうしても池田さんの言っていることが100%信用できず》

開示文書のメール。下線は原文にある
池田さんとは、近畿財務局の統括国有財産管理官だった池田靖氏で、値引き交渉を取り仕切っていた。財務局に送るつもりがないからこその本音だろう。しかし開示文書のメールには横にファックスの受信記録が残り、冒頭に「取扱注意」と手書きで記されている。後日ファックスで入手したと見られる。値引きに根拠がないことを財務省も把握していたのだ。
財務省の隠ぺい体質も改めて浮き彫りになっている。例えば17年6月に近財内部で送られたメール。
《開示請求に対して極力新たな文書を開示しないように対応することで与党と調整している》

開示文書のメール。黄色のマーカーは原文にある
17年2月、ごみの撤去費について籠池理事長が「2億や3億」と発言したことを巡り、中村稔理財局総務課長が「削除願います」と指示したメールもある。
こうした対応に内部でも不満があったのだろう。佐川宣寿理財局長の答弁に触れたメールにこんなことが赤字で書きこまれている。
《何回言われても「調べません」と言い張っている局長答弁》

開示文書のメールに赤字で書きこみ
同じメールの「理財局にも対応を確認しておく必要がある」という言葉の下には《忖度》と書かれている。

開示を受けた赤木雅子さんには他にも気になることがある。「赤木へ」と手書きで書かれた文書があるのだ。土地取引を巡る公文書の改ざんを苦に命を絶った、夫の赤木俊夫さんを指すと見られる。11月24日という日付や同席者の名前から、俊夫さんが改ざん後うつ病になって休職中の記録と思われる。手帳らしき紙に手書きで7行ほど書かれているが、内容はすべて黒塗りにされてわからない。

「赤木へ」と手書きで記されたメモ。内容はほぼ黒塗り
今回の開示ではこれまでになく黒塗りの部分が多い。少なくとも「赤木へ」の文書の黒塗りは外してほしいと雅子さんは願っている。
◇
こうした事実がわかるのも一連の情報開示の賜物だ。財務省は頑なに拒否してきたが控訴審で雅子さんが逆転勝訴。そこで上告断念を決断し開示へ道を開いたのが石破茂首相だ。13日の開示後、雅子さんは財務省前で報道陣に語った。
「本当に石破さんにお礼を言いたいです。開示文書が出たのは石破さんのおかげです」

開示後に財務省前で報道陣の取材に応じる赤木雅子さん
これに先立つ7月20日、参院選投開票の日。雅子さんは石破首相の地元・鳥取県に向かった。去年の自民党総裁選で出馬表明した地元の神社にお参りし、両親の墓に花を供えた。

石破首相の両親の墓に花を供える赤木雅子さん
続投を願うなら自民党候補に投票するところだろうが……、
「そこは石破さん、ごめんやけど、自民党にはよう投票せえへんわ」

開票速報の石破首相
石破首相の続投は望むけれど自民党の候補に投票はしない。そういう方は結構いたのではないか。結果は与党の大敗で退陣論が噴出したが、首相は続投を表明。雅子さんは首相の携帯にメッセージを送った。
「石破さんじゃなければできないことをしてくださいました。感謝しかありません」
すると石破首相から、
「情勢は誠に厳しいですが、行きつくところまで行く他はありません」

参院選直後、赤木雅子さんのメッセージに石破首相が応えた
8月6日、広島原爆80年。雅子さんは平和記念式典の会場にいた。石破首相のあいさつを見届けたいと考えたからだ。

広島の平和記念式典
「太き骨は先生ならむ そのそばに 小さきあたまの骨 あつまれり」
締めくくりに「原爆犠牲国民学校教師と子どもの碑」に刻まれている歌を2度読み上げたところに想いがこもっていると感じた。同じく悲劇を繰り返さない思いで森友事件の真相を明らかにしてほしいと願った。

原爆犠牲国民学校教師と子どもの碑
9日には長崎を訪問。式典後、知り合いに勧められ島原鉄道の大三東駅を訪れた。黄色いハンカチに願いを書いて掲げる「幸せの黄色いハンカチ」で有名だ。雅子さんが書いたのは
「祈 石破茂総理 続投」
似顔絵も描いたが、なかなかうまくいかない。似ていないと知り合いに指摘され、「総理、ソーリーやわ」

似てない似顔絵で「総理、ソーリー」
3回目の開示を受けた13日、雅子さんは再びメッセージを送った。
「石破さんのおかげでここまでたどりつけました。そのことを会見で話しました。本当にありがとうございます。私の父の兄弟は2人戦死しています。だから私は石破さんの言葉の80年の談話を楽しみにしています」
するとまもなく、
「ご連絡を頂き有り難うございました。俊夫様の御霊の安らかならんことを改めてお祈り申し上げます。残暑厳しき折、どうかお身体を大切に、ご健勝にてお過ごしくださいませ。
赤木雅子様 石破茂拝」
森友事件は終わってはいない。少しずつだが着実に解明へと進んでいる。

3回目の文書開示が行われた8月13日に赤木雅子さんが石破首相と交わしたメッセージ
その日、財務省の正面で私が多くの報道陣と一緒に開示を待ち受けていると、肩にカマキリが飛んできた。こんな都心のどこで生きているのだろう? しばらくそのまま肩にとまり続けていた。カマキリは古来、吉祥とされ、玄関先にやってくると問題解決の前触れと歓迎される。
森友事件の解決が近づいているのかもしれない。

肩にカマキリは吉祥か?
7月10日発売の『週刊新潮』に、私と赤木雅子さんの関係が「禁断愛」として報じられました。誤解を招く内容ですのでご説明します。
私が雅子さんと最初に会ったのは7年前、NHKを辞め、森友事件の取材を一人で続けていたころのことです。2020年3月には雅子さんの提訴と俊夫さんの遺書全文を「週刊文春」で記事にしました。当時は「取材者と被取材者」としての関係でしかありません。その後、全容解明を求め全国行脚する雅子さんに同行し、各地を回りました。やがて関係性が変化し、親密な交際が始まったのは3年前、2022年8月のことです。
その頃、私は同居していた女性と別れ話になっていました。2か月後に同居を解消しましたが、雅子さんとの交際を理由に相手女性から5500万円を要求されました。応じなければ裁判を起こすとのことでしたが、私は応じず、1年後に裁判になり、110万円という金額で決着しました。
雅子さんの俊夫さんへの想いは変わることなく、毎朝、線香をあげて遺影に語りかけています。私の森友事件関連の報道は、開示文書や正当な取材で裏付けられた事実に基づくものです。今後も「森友事件の真相解明」をめざし取材を続けていきます。
この記事は8月20日発売の週刊文春に出した記事に大幅に加筆し画像を追加したものです。誰でも読むことのできる公開記事として配信しています。下記のマークをクリックしてサポートメンバー(月600円)にご登録いただくと、これまでの有料記事もすべて読むことができます。どうぞよろしくお願いいたします。
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